今年は特に暑さが厳しく、例年以上に快適な住環境が求められています。
建物自体の性能やエアコンを使うなどのことも大切なのですが、同時に取り入れていきたいのが「住まいの衣替え」です。
衣類を夏用・冬用に変える衣替えの始まりは、平安時代だと言われており、当時は衣の素材をはじめ、扇の素材も衣替えを行っていたそうです。
その後時代が進んでいき、鎌倉時代になると、衣類だけでなく建具や家具、調度品も「衣替え」するようになっていったと言われています。
高温多湿の日本の環境をいかに快適に過ごすか、「住まいの衣替え」は日本だからこそ生まれた文化だと言えるかもしれませんね。
しかし、現代になり住宅の構造が変わった結果、最近では「住まいの衣替え」を行う家はほとんどなくなってしまいました。
京都の町家では今も行われているそうですが、どのようなことを行うのかというと
□ふすまを衣替え
ふすまや障子を取り外して、すだれを嵌め込んだ簾戸(すど)に変更する
□室内のれんを変更
室内にあるのれんや間仕切りを、竹で編み込んだ御簾(みす)に変更。軒先にもすだれやよしずを掛ける。
□畳の上に籐むしろ
取り外しが難しい畳の部屋には、触るとひんやり涼しい籐むしろをひき、快適さをアップ
などなど。
ふすまなど建具まで変えるのは難しいかもしれませんが、手軽に活かせる知恵もたくさんあります。
例えば現代住宅に活かすとすると
□窓のそとにすだれをかける
ドアやふすま自体を変えるのは大変ですが、窓の外にすだれを設置するだけなら簡単。見た目に涼しくなるだけでなく、強い日差しを遮ることで室内の温度上昇を遮ることができます。
□ラグを籐むしろに変更する
室内に引いてあるラグを籐むしろに帰れば、ひんやりと涼しい感触が楽しめます。さらに、籐むしろはエアコンの冷風をしっかりキャッチして冷える働きがあるので、断熱効果も期待できます。ラグやカーペットが大きくて、入れ替えるのが大変な時はその上から一部に籐むしろを引くのも良いでしょう。
取り替えと考えると大変ですが、日頃の生活に暑い時用のアイテムをプラスする、と考えるとそこまで手間もかかりません。
まだまだ暑い期間が続くと考えられるからこそ、快適に過ごすためにできる手軽なひと工夫を上手に日常生活に取り入れ、住まいをもっと心地よいものにしていきたいですね。