住宅コラム

一戸建てに固定資産税はいくらかかる?購入前の事前知識、計算方法、軽減措置を解説

住宅購入コラム
2025.06.20

一戸建ての購入を検討している方にとって、固定資産税がどれくらいかかるのかは重要なポイントです。固定資産税は毎年発生する費用であり、住宅購入後の生活にも大きく影響します。この記事では、固定資産税の基本的な仕組みから、計算方法、軽減措置、計算シミュレーション例までを詳しく解説します。これから一戸建てを購入しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

固定資産税とは?一戸建てにかかる仕組みを解説

固定資産税は、土地や建物などの固定資産を所有している人に対して課される税金(地方税)です。その資産価値に応じて税額を計算し、固定資産が所在する市町村に納めます。

一戸建てを所有する場合、固定資産税は土地と建物の両方に対して課税されます。

固定資産税は、市町村が決定しています。すでに居住している住宅の場合は、市町村から「固定資産税納税通知書」が届き、そこに固定資産税評価額が記載されています。これから新築の一戸建て購入予定の場合は、建てる前に正確な固定資産税評価額を知ることはできません。ただし、計算式を用いることで、おおよその税額を算出することができます。

固定資産税の基本的な計算方法

税額は、固定資産評価額に基づいて計算され、市町村が毎年発行する納税通知書により通知されます。固定資産税額は、以下の手順で求められます。

1.固定資産を評価し、固定資産評価額を出す
2.固定資産評価額をもとに、課税標準額を出す
3.課税標準額に税率をかけ、税額を出す

ここから、用語の意味とあわせて、それぞれの手順を解説します。

【ステップ1】固定資産を評価し、固定資産評価額を出す

まずは、各固定資産を評価します。固定資産評価額は、市町村が定める評価基準に基づいて算出され、3年ごとに見直されます。土地と建物の評価額は、それぞれ独立して計算します。

区分

評価方法

土地

宅地の場合、地価公示価格などの7割を目安に評価額を計算。

※宅地や農地などの地目別に評価額を計算する。

家屋

「現時点で、同じ家屋を再度新築するとした場合に必要となる建築費(再構築価格)」に、「年数経過に応じて生じる減価率(経年減点補正率)」などを乗算したもの。

おおよその固定資産評価額を計算したい場合は、下記を目安にしてください。

固定資産税評価額の目安

土地:地価公示価格の約70%
家屋:(新築の場合)建築価格の約60%

【ステップ2】固定資産評価額をもとに、課税標準額を出す

原則として、ステップ1の評価額=課税標準額となりますが、「住宅用地の課税標準の特例」のような調整措置が適用される場合は、評価額よりも低い金額が課税標準額となります。

【ステップ3】課税標準額に税率をかけ、税額を出す

土地・家屋の課税標準額を合算します。そして、課税標準額 × 税率 = 固定資産税額】の計算式に、課税標準額と税率を当てはめて計算します。税率は、原則として1.4%です。しかし、市町村が必要に応じて税率を条例で定めることができるため、地域によって異なる場合があります。

また、「新築住宅の軽減措置」「認定長期優良住宅に関する特例措置」が適用されると、一定期間、固定資産税を減額することができます。

参考:地方税制度|固定資産税 | 総務省

固定資産税の軽減措置

固定資産税には、一定の条件を満たすことで軽減措置が適用される場合があります。これらの措置を活用することで、税負担を軽減することができます。

【土地】住宅用地の課税標準の特例

住宅用地として使用されている土地に対し、課税標準額を軽減する措置です。住宅を建てるための土地が対象となり、土地の広さによって適用される軽減割合が異なります。

  • ・小規模住宅用地(200㎡以下):課税標準額が 評価額の6分の1
  • ・一般住宅用地(200㎡超の部分):課税標準額が 評価額の3分の1

200㎡を超える住宅用地は、超えた部分の課税標準額が価格の3分の1になります。

【家屋】新築住宅の軽減措置

新築住宅の建設を促進するため、新築住宅にかかる固定資産税が、3年間半額になる軽減措置があります(マンション等の場合5年間)。

※4年目以降(マンション等の場合は6年目以降)は、固定資産税額の軽減はなくなり、本来の税額に戻ります。
※対象となる面積は、居住部分に係る床面積が120㎡まで(120㎡を超えるものは120㎡相当分までが対象)

参考:新築住宅に係る税額の減額措置 | 国土交通省

【家屋】認定長期優良住宅に関する特例措置

耐震性や耐久性などが優れた認定長期優良住宅の普及のため、認定を受けた新築等の住宅は、固定資産税が5年間半額になります(マンション等の場合7年間)。

※6年目以降(マンション等の場合は8年目以降)は、固定資産税額の軽減はなくなり、本来の税額に戻ります。
※対象となる面積は、居住部分に係る床面積が120㎡まで(120㎡を超えるものは120㎡相当分までが対象)
※他、所得税・登録免許税・不動産取得税も軽減。

参考:認定長期優良住宅に関する特例措置 | 国土交通省

一戸建ての固定資産税はどれくらい?税額シミュレーション

一戸建ての固定資産税は、土地と建物の評価額に基づいて計算されます。評価額は、地域や土地の広さ、建物の構造や築年数などによって異なります。以下に、具体的な例を挙げて、固定資産税の相場を見ていきましょう。

新築一戸建て住宅の固定資産税額シミュレーション

例えば、下記の条件の土地・家屋を購入した場合の固定資産税額をシミュレーションしてみましょう。ただし、この計算は「あくまで目安が分かる」ものです。実際に課税される固定資産税は、市町村から届く「固定資産税納税通知書」で分かります。

土地:1800万円(200㎡以下)
家屋:2200万円

合計:4000万円

1.土地の固定資産評価額を計算する

土地の固定資産税評価額は、購入価格のおよそ70%が目安となります。

例えば、土地の購入価格が1,800万円(200㎡以下)の場合、固定資産評価額は

土地の固定資産評価額=1,800万円×0.7=1,260万円

この例では、土地面積が200㎡以下なので、「住宅用地の課税標準の特例」が適用されると評価額が6分の1に軽減されます。

軽減措置適用後の土地の金額=1,260万円×1/6=210万円

2.家屋の固定資産評価額を計算する

新築の場合、家屋の固定資産税評価額は、購入価格のおよそ60%が目安となります。

家屋の固定資産評価額=2,200万円×0.6=1,320万円

ただし、「新築住宅の軽減措置」が適用される場合は、固定資産税が3年間半額になるため、下記の計算を行います。

軽減措置適用後の家屋の金額=1,320万円×0.5=660万円

3.土地+建物の金額を合計する

1と2で求めた土地と家屋の金額を合計し、課税標準額を求める。

合計=210万円+660万円=870万円

4.課税標準額に税率をかける

最後に、固定資産税率1.4%をかけて、固定資産税額を求めます。

固定資産税額=870万円×0.014=12.18万円

この事例の固定資産税額はおよそ12.18万円だと計算することができました。

このようにして、家を建てる前から「固定資産税がどのくらいかかるのか」の目安を予測することができます。一戸建ての場合、固定資産税は10万円〜15万円程度が平均と言われています。

中古住宅の場合

中古で一戸建てを購入しようと考えている場合は、購入前に固定資産税を知る方法があります。中古物件の固定資産税の納税通知書は、売主の元に届いています。売主または不動産会社に聞くと、その中古住宅の固定資産税がいくらかを教えてもらえるので、自分で計算する必要はありません。

「購入前に固定資産税を知りたい」という場合は、一度聞いてみましょう。

よくあるご質問

固定資産税に関して、よくある疑問をQ&A形式で解説します。

Q. 固定資産税は毎年変わりますか?

固定資産税の基準となる評価額は、原則として3年に一度見直されます。ただし、地価の変動や建物の老朽化などの要因によって、税額が毎年少しずつ変わることもあります。特に家屋については、「経年減点補正率」を用いて計算されるため、築年数が経過するほど評価額が下がり、結果として税額も下がるのが一般的です。

Q. 固定資産税はどこで確認できる?

固定資産税の評価額や税額は、市町村が発行する納税通知書で確認できます。

Q. 一戸建て住宅の設備によって、固定資産税が変わる?

新築住宅が建つと、市町村の担当者が家を訪問し、家屋調査を行います。その結果も踏まえて固定資産税額が決定します。家屋調査では「住宅の資産価値がどれだけあるか」を評価するので、グレードの高い設備が備わっている住宅ほど高く評価され、固定資産税も上がります。固定資産税が上がる主な設備は、ホームエレベーターやシステムキッチンなどです。

Q. 一戸建て住宅で、固定資産税以外にかかる税金はある?

一戸建て住宅を所有する場合、固定資産税のほかに、都市計画税が課されることがあります。都市計画税は、都市計画区域内の土地や建物に対して課される税金で、税率は市町村によって異なります。

まとめ:固定資産税を正しく理解して、後悔のない一戸建て購入を

固定資産税は、一戸建てを購入したあとに毎年支払う必要がある「維持費」のひとつです。税額は、土地や建物の評価額によって異なり、新築か中古か、また住宅の性能や所在地によっても大きく変わります。そのため、購入前にしっかりとシミュレーションを行い、固定資産税の負担を想定しておくことが大切です。

特に分譲住宅では、土地の区画や建物の仕様がある程度標準化されていることから、他の物件と比較して評価額が似通っているケースが多く、固定資産税の相場も把握しやすいという特徴があります。加えて、新築分譲住宅であれば、3年間の税額軽減措置などが適用される可能性もあり、購入初期のコスト負担を抑えることができます。

固定資産税の正しい知識を持つことで、物件選びや資金計画の精度が高まり、購入後の生活における安心感にもつながります。将来的な資金計画を見据え、税金面の条件も重視しながら、納得のいく住宅選びを進めていきましょう。

 

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