不動産投資コラム

アパート経営の基本|メリット・リスク・初期費用・利回りをわかりやすく解説

アパート経営
2025.05.26

土地・物件を有効活用し、安定収入と節税効果を得られるアパート経営。将来の資産形成を強力にサポートする人気の資産運用法です。
この記事ではアパート経営の基礎からメリット・リスク・収支計画まで、これから始める方に必要な知識をわかりやすく解説します。

アパート経営とは?基本をわかりやすく解説

アパート経営とは、土地にアパートを建設または購入して「1棟丸ごと経営する」不動産投資です。空き地活用安定収入確保の手段として人気があります。

アパート経営とマンション経営の違い

 

アパート

マンション

構造

木造・軽量鉄骨造

RC造・SRC造

階数

2〜3階建て

3階以上の中高層

初期投資

比較的少額

高額になりやすい

マンション経営には「区分所有」と「一棟所有」がありますが、アパート経営は基本的に一棟全体を所有・運営します。「1棟丸ごと経営」は節税効果も高く、不動産投資の入門としても選ばれています。

アパート経営と株式投資の違い

投資の選択肢としてよく挙げられる株式投資ですが、アパート経営とはどのような点で異なるのでしょうか?

 

アパート経営

株式投資

収入

家賃収入(インカムゲイン)

売却益(キャピタルゲイン)

資金

融資活用で少額から大きな投資可能

自己資金内での投資

管理

継続的な関与が必要(管理会社委託可)

保有するだけでよい

アパート経営の魅力は、資産価値の変動が緩やかで安定した家賃収入が期待できること、そして適切な管理で物件価値を維持・向上できる点にあります。

アパート経営で得られる4つのメリット

アパート経営には、他の投資方法と比較して魅力的なメリットがいくつもあります。ここでは特に重要な4つのメリットを詳しく解説します。

【メリット①】安定した長期収入が期待できる

アパート経営の最大の魅力は、安定した家賃収入を長期間にわたって得られる点です。株式投資と異なり市場変動に左右されにくく、適切な立地と管理で安定したキャッシュフローを生み出します。また複数の部屋があれば、一室が空室でも他からの収入があるため、リスク分散にもなります。

【メリット②】相続税・固定資産税の節税効果

アパート経営は税制面でも大きなメリットがあります。例えば、相続財産が現金の場合、そのままその金額が課税対象となりますが、土地の場合は公示地価や実勢価格に比べて7〜8割程度の評価額となります。

さらに、土地にアパートを建てることで「貸家建付地」として評価され、更地より相続税評価額が20%程度減額され、建物も「貸家」として評価が下がります。 また修繕費、管理費、保険料などの経費や減価償却費は所得税・住民税の節税にもつながります。特に減価償却費は実際の現金支出がなくても計上できる経費で、大きな節税効果があります。 

※税制度は変更される可能性がありますので、必ず最新の情報を入手してください。

【メリット③】生命保険の代わりになる

アパート建築のための融資には、通常「団体信用生命保険(団信)」が付帯します。これはローン返済中に万一オーナーが亡くなった場合、残債が免除される制度で、家族に借金を残すリスクを軽減します。団信保険料は金融機関が負担するケースが多く、追加負担なく保障が得られます。

【メリット④】定年後の生活資金を支える資産形成

アパート経営は退職後の安定収入源として有効です。現役時代からローン返済を進めれば、退職時には返済負担が減り、より多くの手取り収入が得られます。年金補完の収入源となるでしょう。

また実物資産の保有はインフレ対策にもなります。物価上昇時には家賃も上昇傾向にあるため、資産価値の維持が可能です。


アパート経営の4つのリスクと注意点

アパート経営には魅力的なメリットがある一方で、認識しておくべきリスクもあります。ここでは主な4つのリスクとその対策について解説します。

【リスク①】空室リスクとその対策

空室はアパート経営の最大のリスクの一つです。収入が途絶えても固定費は継続するため経営を圧迫します。

対策:好立地選定、適切な家賃設定、入居者ニーズに合った設備導入、定期的なリフォーム、優良な管理会社との連携。

【リスク②】老朽化リスクと修繕費の備え

建物は時間とともに劣化し、修繕が必要になります。特に木造アパートは耐用年数が短いため注意が必要です。

対策:家賃収入の10〜15%程度を修繕積立金として確保し、定期的な点検と予防的メンテナンスを実施。

【リスク③】自然災害リスクと保険対策

地震や水害などの自然災害は建物損害と収入減少をもたらします。

対策:ハザードマップ確認、十分な補償内容の保険加入、耐震性能の高い構造を選択する。

【リスク④】金利上昇リスクを見据えた資金計画

融資を活用した経営では、将来の金利上昇が返済負担増加につながります。

対策:長期固定金利ローンの活用、返済比率を50%程度に抑える計画、自己資金の充実。

これらのリスクを事前に認識し対策を講じることで、アパート経営の安定性と収益性を高めることができます。

アパート経営は儲からない?その理由と現実

「アパート経営は儲からない」という声を聞くこともありますが、その真相を理解しておきましょう。適切な計画と運営があれば、安定した収益を生み出すことは十分可能です。

ローン返済負担と収支バランス

アパート経営は多くの場合、融資を活用して始めます。特に経営初期は、毎月のローン返済額が家賃収入を圧迫することがあります。収支がマイナスになるケースもありますが、これは一時的な状況で、ローン返済が進むにつれて徐々に手元に残る金額は増えていきます。

空室リスクと賃料下落への対応

「満室経営」を前提とした楽観的な計画は危険です。5〜10%程度の空室率を見込んだ収支計画が現実的です。また、築年数の経過とともに賃料下落の可能性もあるため、余裕を持った資金計画が重要です。

黒字化に必要な長期的視点

アパート経営は短期的な収益よりも、10年、20年という長期的な視点で考えるべき投資です。初期段階では収支がトントンでも、ローン返済が進み、減価償却費による節税効果も活用すれば、徐々に黒字化していきます。

 

アパート経営に必要な初期費用と資金計画

アパート経営を始める際には、建築費と諸費用を含めた適切な資金計画が必要です。構造別の費用相場と必要な自己資金を理解しましょう。

建築費と構造別の相場感

構造

坪単価(幅広い相場)

耐用年数

木造アパート

75万〜105万円

約22年

軽量鉄骨造

80万〜105万円

約19~27年※

重量鉄骨造

90万〜120万円

約34年

RC造(鉄筋コンクリート造)

95万〜125万円

約47年

※鉄骨の厚みによって異なる

建築費は地域や仕様により変動します。複数社から見積もりを取得することが重要です。

諸費用と自己資金の目安

建築費以外にも様々な諸費用がかかります(建築費の10〜20%程度)。

主な諸費用

  • 登記費用(20〜50万円)
  • 不動産取得税(固定資産税評価額×3%※)
  • 印紙税、融資関連費用、保険料など

不動産取得税の税率は、標準税率4%。ただし、土地及び住宅は2027年年3月31日まで3%、住宅以外の家屋4%。

自己資金の目安:ローンを組むのに必要な建築費の10〜20%の頭金に加え、諸費用分(建築費の約5%)が必要です。例えば建築費4,500万円の場合、約675万円(頭金450万円+諸費用225万円)の自己資金が目安となります。

アパート経営は長期的な視点が重要です。予想外の出費や空室期間にも対応できるよう、余裕をもった資金計画を立てましょう。

アパート経営の利回りとは?

アパート経営の収益性を判断する重要指標が「利回り」です。投資判断には2種類の利回りを理解しましょう。 

表面利回りと実質利回りの違い

表面利回り

【表面利回り(%)= 年間家賃収入総額 ÷ 物件取得価格 × 100】

簡易的な収益指標で広告によく使われますが、経費や空室を考慮していないため実態とは異なります。 

実質利回り

【実質利回り(%)= (年間家賃収入 – 年間諸経費) ÷ 物件取得価格 × 100】

経費を差し引いた実際の収益性を表す、より現実的な指標です。

アパート経営における目標利回りの考え方

アパート経営の理想は、表面利回り8%、実質利回り4〜7%程度、最低ラインは表面利回り5%、実質利回り3%程度が目安です。

ただし立地条件や投資額によって変動します。都心部では利回りは低めでも空室リスクも低く、資産価値が安定する傾向があります。高すぎる利回りにはリスク要因が潜んでいる可能性があるため注意が必要です。 投資判断は表面的な数字だけでなく、実質的な収益性と長期的な安定性を重視しましょう。

成功するアパート経営に必要な事前準備

アパート経営の成功は建築前の準備で決まります。重要な3つのポイントを押さえましょう。

経営目的と収益目標の明確化

「なぜアパート経営をするのか」を明確にします。老後の収入確保、相続税対策、資産形成など、目的によって最適戦略が異なります。目的に合った具体的な収益目標を設定しましょう。

市場調査とターゲット設定

建築予定地の家賃相場、競合状況、交通アクセス、周辺施設を調査します。学生向け、単身者向け、ファミリー向けでは求められるニーズが異なります。「誰に貸すか」を明確にし、ターゲットに合った間取りや設備を選定します。

収支シミュレーションの実施

空室率5〜10%を見込んだ現実的な収支計画を立てましょう。金利上昇や修繕費増大も考慮し、複数シナリオでシミュレーションしましょう。

信頼できる建設会社・管理会社を選ぶポイント

アパート経営の成否を左右する重要な要素が、建設会社と管理会社の選択です。

複数社の比較が必須

建築会社ごとに工法や提案内容が異なるため、必ず複数社から提案を受けてください。建物の品質、収支計画の現実性、アフターサポート体制、施工実績を比較しましょう。

良いパートナーの特徴

信頼できる会社は、ニーズを丁寧に聞き、メリットだけでなくリスクも説明します。地域の具体的な市場情報を持ち、迅速な対応とスムーズなコミュニケーションが特徴です。

アパート経営は長期的な事業なので、目先の安さより信頼関係を重視した選択が重要です。

アパート経営開始から安定運営までのステップ

アパート完成後の経営フェーズにおける重要ポイントを押さえましょう。

入居者募集と賃貸管理のコツ

入居者募集は収益に直結します。競争力ある家賃設定、複数の不動産サイトと地域密着の不動産会社の活用、清潔感ある内見対応が重要です。

収支管理とリスク対策

月次での収支確認、大規模修繕用の積立金確保(家賃収入の10〜15%)、空室対策の準備、適切な保険加入が重要です。

経営初期は特に状況を注意深く監視し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら軌道修正しましょう。

アパート経営にかかる税金の基礎知識

アパート経営では様々な税金が関わってきます。収益最大化のためには、税金の基礎知識を理解しておきましょう。

家賃収入と所得税

アパート経営による家賃収入は「不動産所得」として課税されます。 

不動産所得 = 総収入(家賃収入) – 必要経費

経費として認められるのは、管理費、修繕費、保険料、ローン金利、固定資産税、減価償却費などです。特に減価償却費は現金支出なしで計上できる経費で、大きな節税効果があります。

青色申告のメリット

不動産所得がある場合は確定申告が必要です。特に「青色申告」を利用すると、条件を満たせば最大65万円の特別控除が受けられます。申請には「青色申告承認申請書」と「青色申告決算書」の提出と複式簿記での記帳が必要です。

主な税金の種類

取得時:不動産取得税、登録免許税、印紙税 

保有時:固定資産税、都市計画税、所得税 、住民税

売却時:所得税(譲渡所得)

特に固定資産税は「住宅用地の特例」が適用されると課税標準額が大幅に軽減されるため、要確認です。

アパート経営の税務は複雑なため、税理士などの専門家に相談しながら適切な節税対策を行うことをおすすめします。

まとめ|アパート経営を成功に導くのは「準備力」と「パートナー選び」

アパート経営の成功には「事前準備」と「信頼できるパートナー選び」が不可欠です。

成功のための重要ポイントは、以下の4つです。

  • 立地条件を重視した物件選び
  • 現実的な収支計画の立案
  • 長期的視点での資金・修繕計画
  • 信頼できる建設会社・管理会社の選定

本業と並行してアパート経営を行う方がほとんどであり、専門家のサポートが成功への近道です。イーカムでは、あなたの状況に合った最適なプランをご提案しています。お気軽にご相談ください。

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イーカム分譲住宅編集部

イーカム不動産投資編集部

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