不動産投資コラム

アパート一棟買いで失敗しやすい 5つのリスクと対処法

アパート経営
2025.06.20

アパート一棟買いは、月々の安定した賃料収入を生み出す不動産投資の手法です。全室を運用できるため、空室リスクを分散できる反面、専門的な知識と経験が必要となります。

この記事では、アパート一棟買いで初心者が陥りやすい5つの失敗パターンと注意点、それを回避するための具体的な対策を解説します。

1.ギリギリのローン返済で資金ショートする

アパート一棟買いで最も危険なリスクの一つが、資金繰りの失敗です。ローン返済をギリギリの状態で組むと、予期せぬ事態に対応できなくなる可能性が高まります。

失敗のポイント・注意点

ローン返済の困難

多くの初心者が、家賃収入をほぼ全額ローン返済に充てる計画を立てがちです。しかし、これは大きな落とし穴となります。空室や修繕費、想定外の出費に耐えられなくなるリスクがあるのです。

予備資金の不足

頭金なしや限界まで借り入れるタイプのローンは、緊急時の資金繰りを困難にします。突発的な修繕や空室期間の生活費など、予備資金の重要性を見落とすと経営が危うくなります。

キャッシュフローの誤算

家賃収入を楽観的に見積もりすぎると、実際の収入との乖離が経営を圧迫します。築年数による賃料低下や、地域の市場変動も考慮する必要があります。

対策

適切な資金計画の立て方

建築費の7割程度の借入れを目安とし、自己資金に余裕を持たせることが重要です。また、将来のキャッシュフローを複数のシナリオでシミュレーションし、リスクに備えましょう。

余裕を持った返済計画

固定金利の選択や、返済額に対して十分な家賃収入を見込める物件選びがカギとなります。金利上昇や空室リスクを考慮した返済計画が求められます。

予備資金の確保

物件価格の20〜30%の自己資金を用意し、不測の事態に備えておくことをおすすめします。

アパート一棟買いで成功するカギは、物件選びだけではありません。大切なのは、お金の管理と将来を見据えた計画です。初期投資だけでなく、長期的な資金繰りを考えることが、堅実なリターンを得るために不可欠です。

2.安易なサブリース契約で思わぬ損失が発生する

サブリースとは、オーナーが不動産会社に物件を一括で貸し出し、その会社が入居者に転貸する仕組みです。一棟買いしたアパートを任せることができ、家賃収入を安定させる魅力的な方法に見えますが、安易な契約は大きなリスクを伴います。

失敗のポイント・注意点

サブリース契約の落とし穴

家賃保証は、空室の有無に関わらず一定の家賃を保証する制度。最初の数年間は高めに設定され、その後減額されるケースが多いため、長期的な収支を正確に把握することが重要です。家賃保証に頼りすぎると、将来的な収入減少に気づかないリスクがあります。

管理運営の知識・経験がない

不動産投資の経験が浅い場合、サブリース会社の提案をそのまま受け入れがちです。各社の契約内容や管理方法は大きく異なり、知識不足は不利な契約や非効率な管理につながる危険性があります。

入居者対応の難しさ

サブリース会社任せにすることで、入居者とのコミュニケーションや物件管理に関与できなくなります。物件の質の低下や入居者の不満増加、資産価値の低下を招く可能性があります。

対策

サブリース契約の正しい理解

契約書の細部まで注意深く確認し、家賃保証の仕組み、契約期間、更新条件を理解しましょう。複数の提案を比較検討し、最適な契約を結ぶことが大切です。

専門家への相談

不動産投資の経験豊富なコンサルタントに相談し、契約内容の妥当性やリスクを事前に把握します。

適切な管理会社を選ぶ

サブリース会社の中には賃料の未払いや送金遅れなど、トラブルの絶えない業者もあります。会社の実績と評判を徹底的に調査し、長期的な安定性を重視しましょう。

サブリース契約は便利ですが、成功の保証ではありません。慎重な検討と継続的な管理が重要です。

3.立地条件の悪さから空室が続く

不動産投資において、立地は収益性を決める重要な要素の一つです。安易にアパートの立地を選ぶと、長期にわたる空室リスクが生じる可能性があります。

失敗のポイント・注意点

入居者ニーズを無視した立地選び

立地の選択は、入居者の生活スタイルと密接に関連します。交通の便、生活利便施設の充実度、周辺環境は、入居者にとって重要な判断基準となります。ニーズを考慮できていない場所に物件がある場合、物件を探す人から選ばれず、空室が目立つリスクがあります。

周辺環境の将来変化を見落とす

都市開発が進むエリアでは、数年で街の様相が大きく変わることがあります。現在の環境だけでなく、10年後の街の姿を想像することが重要です。

競合物件との差別化の失敗

同じエリアに築浅の高級賃貸マンションが多数ある中で、設備の古いアパートや家賃が見合わない物件は、空室リスクが高まります。設備を整えたり、家賃を見直す必要があります。

対策

立地選びのポイント

駅から徒歩10分以内、コンビニや商店街が近い、交通利便性が高く、生活施設が充実しているエリアは、安定した入居率が見込めます。

具体的には、子育て世代なら保育園や小学校の近さ、若い社会人なら会社や飲食店などの有無も重要な選択基準となります。また、防犯面での安全性や、将来的な人口動態の変化も考慮すべきポイントです。

地域の将来性調査

大規模開発が予定されているエリアや、企業誘致が活発な地域は、将来的な価値向上が期待できます。都市計画や地域の発展動向を事前に把握することが重要です。

入居者ニーズの分析方法

入居者のライフスタイルは多様です。地域の特性や、ターゲットとなる年齢層に応じて、求められる環境は異なります。例えば、企業が多くあるエリアやベッドタウンの場合は、社会人やファミリー向け。近隣に大学がある場合は、学生向けの安価な一人暮らし向けの間取りにするなど、そのエリアで需要がある物件を選ぶ必要があります。不動産情報サイトの検索データから、その地域に適したニーズを分析しましょう。

立地選びは、数字だけでなく、街の未来を読み解く目利き力が求められます。慎重な調査と将来を見据えた判断が重要です。

4.建物の老朽化で資産価値が下がる

不動産投資において、建物の状態は収益性と資産価値を大きく左右します。購入したアパートの適切な管理を怠ると、物件の魅力が失われ「期待していた収益を出せなかった」という事態になりかねません。

失敗のポイント・注意点

建物の経年劣化を無視

築20年以上の物件では、躯体や設備の劣化が進みます。壁のひび割れ、配管の老朽化、屋根や外壁の劣化は、入居者の印象を大きく下げ、空室リスクを高めます。

メンテナンスコストの増大

放置されたアパートは、突発的な修繕が必要になり、莫大な費用がかかります。例えば、給水管の全面交換や、外壁の大規模修繕は数百万円単位の出費となることがあります。

設備の陳腐化

古い電気設備、非効率な給湯システム、断熱性能の低さは、入居者の快適性を損ない、光熱費の高騰につながります。最新の設備と比較すると魅力が低下します。

対策

定期的なメンテナンス計画

年1〜2回の建物診断と、予防的な修繕が重要です。小さな不具合を早期に発見し、対処することで、大規模修繕のリスクを減らせます。

設備更新の重要性

5〜10年ごとに、キッチン、バス、トイレなどの設備を更新します。入居者が求める快適性と、省エネ性能の高い設備は、物件の魅力を大きく向上させます。

長期的な資産価値維持の方法

建物の性能を維持するだけでなく、リノベーションによる付加価値の創出も検討しましょう。宅配ボックス、防犯カメラ、オートロックなどの設備は、アパートの市場価値を高めます。

修繕積立金の適切な管理

毎月の家賃収入の一定割合(5〜10%)を修繕のための積立金として確保しておくと安心です。将来の大規模修繕に備え、計画的に資金を蓄えることが重要です。

建物の価値は、日々の丁寧な管理から生まれます。短期的な視点ではなく、長期的な投資の目で物件を見守ることが、継続的な成果につなげるためのカギとなります。

5.物件管理の知識不足で入居者が定着しない

不動産投資の成功は、単に物件を購入することではなく、いかに入居者に快適な居住環境を提供できるかにかかっています。アパートの管理不備は、入居者の退去を招き、収益を大きく下げる原因となります。

失敗のポイント・注意点

入居者とのコミュニケーション不足

入居者との連絡を怠ると、小さな不満が大きなトラブルに発展するおそれがあります。例えば、エアコンの調子が悪い、水漏れがあるなどの些細な問題でも、すぐに対応しないと信頼関係を失うかもしれません。

クレーム対応の難しさ

適切な対応ができないと、入居者は即座に退去を考えます。騒音問題、設備の故障、近隣トラブルなどに対して、迅速かつ丁寧な対応が求められます。対応の遅れや無視は、評判を悪くします。

トラブル防止の不備

入居者募集時の審査不足や、入居後のルール説明の曖昧さは、後々大きな問題を引き起こします。例えば、支払いの遅延、不適切な使用、騒音問題などは、事前の対策で防ぐことができます。

対策

効果的な入居者対応

定期的な点検や、アンケート調査などを実施します。入居者の要望や不満を早期に把握し、迅速に対応することで、長期入居を促進できます。

トラブル防止のための管理方法

入居時に明確な利用規則を提示し、共用部分の使用ルール、騒音制限、ゴミ出しルールなどを具体的に説明します。また、緊急連絡先を明確にし、24時間対応可能な体制を整えることが重要です。

管理会社の選び方と役割

信頼できる管理会社を選ぶことがカギとなります。入居者対応、修繕手配、家賃回収などを効率的に行える会社を選びましょう。実績、対応スピード、サポート体制を慎重に評価することが大切です。

物件管理は、単なる事務作業ではありません。入居者の立場に立って、快適な生活環境を提供することが、安定した不動産投資につながるのです。

まとめ

アパート一棟買いは、リスクと注意点を正しく理解し、適切な対策を講じることで、安定した不動産投資が可能になります。本記事で紹介したリスクは、決して投資を諦める理由ではありません。むしろ、事前に知識を身につけることで、より強固な投資戦略を立てることができるのです。

不安や疑問がある方は、経験豊富な専門家に相談することをおすすめします。 イーカムでは、あなたの状況に合った最適なプランを無料でご提案いたします。 物件情報や個別相談をご希望の方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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イーカム分譲住宅編集部

イーカム不動産投資編集部

「フルセイル」シリーズを手がける当社の専門スタッフが、不動産投資をこれから始めたい方にも、すでに経験を積んだ方にも役立つ知識や最新情報を、やさしく分かりやすくお届けします。

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