不動産投資コラム

神奈川の投資戸建て|再建築可否・接道・境界で失敗しない物件チェック

不動産投資の基礎
2026.09.24
接道義務

不動産投資の対象としてイメージされるのは、一棟アパートや区分マンションが多いのではないでしょうか。その一方で、より初期費用を抑えやすく、住まいとしての売却も選択肢に入れやすい、投資戸建てへの関心も高まっています。

神奈川県で投資戸建ての購入を検討する場合、人口の多さや都心へのアクセスの良さから、安定した賃貸需要を見込める傾向がある点も魅力の1つです。ただし、物件選びにおいては、物件の購入価格や利回り、物件状態だけでなく、土地固有の法律上のルールや土地・建物の状態も見極めましょう。

この記事では、投資戸建てを購入する前に確認したい、建物の再建築可否・接道義務について解説します。

投資戸建てでチェックしたい法的条件

物件選びでは、外観や内観の劣化など、目に見えやすい建物の状態に目が行きがちです。しかし、中古戸建てに投資する際の注意点として重要なのは、土地にかかる法的な制限です。検討中の戸建て物件の接道状況や私道の権利関係、境界未確定といったトラブルを抱えていないかチェックする必要があります。

こうした問題を放置したまま購入すると、運用中は家賃収入が得られても、いざ売却する際に買い手が見つからず苦戦するリスクがあります。表面利回りの高さや購入価格の安さだけに注目せず、敷地の権利や適法性を購入前に確認することが大切です。

神奈川特有の地形・行政ルール

神奈川県内の多くのエリアは、丘陵地や起伏の激しい地形が広がっているのが特徴です。特に横浜市や横須賀市などでは、傾斜地を切り開いて造成された住宅地が多く見られます。

こうした地域では、敷地と道路の間に大きな高低差があり、土砂崩れを防ぐための「擁壁(ようへき)」が設けられている物件が少なくありません。擁壁の維持管理には独自の行政ルールが適用されるため、平坦なエリアと同じ感覚で判断するのはリスクがあります。

また、坂道や細い路地が入り組んだ古い住宅街では、現行の法律を満たしていない土地や、権利関係が複雑な私道もあります。相場より安く売り出されている物件の背景には、こうした地形や法的な制約が潜んでいる可能性を考慮しましょう。

接道義務・再建築不可物件とは

建物を建てる際には、接道義務や再建築不可といったルールが存在します。これは、マイホームの購入時だけではなく、不動産投資の際にもチェックしておきたい内容です。

法的なルールを満たしていない物件は、購入後の運用にも制限がかかるため、不動産投資で安定した運用を目指すには、購入する物件の状態を見極めることが重要です。

建築基準法第43条における「接道義務」

建物を建てる際、その敷地は特定の条件を満たした道路に接していなければならないというルールがあります。建築基準法第43条では、原則として都市計画区域内の敷地は「建築基準法上の道路に2m以上の長さで接しなければならない」と規定されています。

この規則は、火災などの緊急時に消防車や救急車がスムーズに進入し、消火・救助活動を行えるようにするためのものです。なお、ここで言う「道路」とは単に人が通れるというだけではなく、原則として「幅員(道幅)が4m以上ある、建築基準法上で認められた道路」を指します。

「再建築不可物件」が発生する主な要因

接道義務を満たしていない土地に建つ物件が、いわゆる「再建築不可物件」と呼ばれています。主な要因には以下のようなケースがあります。

  • 敷地が道路にまったく接していない(無接道)
  • 接している道路の幅員が4m未満である
  • 敷地が道路に接する幅(間口)が2m未満である
  • 接している道が建築基準法上の道路と認められていない
    ※接道が幅員4m未満でも、セットバック等の要件を満たせば建築可能な例外もあります。

投資を検討する際、再建築不可物件は相場より安く取得できる傾向があります。しかし「現在の建物を壊しても新しい建物を建てられない」という制限があるため、長期的に運用していく上では、デメリットになる場合があります。

総務省の令和5年の統計によると、神奈川県内の住宅のうち、接道義務を果たしていない住宅(※)は全体の約32.8%あります。
※神奈川県内の専用住宅総数のうち、敷地に接している道路の幅員が「幅員2m未満の道路」「幅員2~4m未満の道路」「敷地が道路に接していない」住宅の割合から算出。(総務省「令和5年住宅・土地統計調査」を基に作成)

「既存不適格物件」と「再建築不可物件」の違い

混同されやすい言葉に「既存不適格」と「再建築不可」がありますが、法的な意味合いは異なります。

既存不適格物件:建築当時は法令に適合していたものの、その後の法改正や都市計画の変更により、現在の法律を満たさなくなった物件。条件を整えれば建て替えが可能な場合があります。

再建築不可物件:土地自体が接道要件等を満たしておらず、原則として建て替えが不可能な物件。

なお、建築当初から法律を無視して建てられた「違法建築」は、行政から是正命令を受ける対象となるため、これらとは明確に区別して理解しておく必要があります。

再建築不可物件に投資するメリット

メリット1.物件価格が安い

一般市場の相場と比較して安く物件を取得できるケースが多く、物件の購入費用を抑えやすい点が特徴です。

メリット2.保有コストが低い

土地の固定資産税評価額が低く算出されるため、毎年の固定資産税や都市計画税、取得時の不動産取得税の負担を低く抑えられるケースが多いです。運用中のランニングコストが削減できるため、中長期的に見て実質利回りの向上が期待できます。

再建築不可物件に投資する際の注意点

注意点1.金融機関による融資を受けにくい

再建築不可物件は、金融機関からの担保評価が出にくく、融資を受けにくい特徴があります。既存不適格物件であっても、現在の法令に適合していないことを理由にローンの審査が厳しくなるのが一般的です。

注意点2.出口戦略(売却)を立てにくい

将来的に建物を解体しても新築できないため、売りやすさ(不動産の流動性)や担保価値が低く見積もられてしまいます。その結果、買主は現金(融資なし)での購入を求められるケースが多くなります。売却時のターゲット層が「現金で購入できる買主」などに絞られやすいため、希望価格で迅速に手放すことが難しく、現金化に時間を要する傾向があります。

注意点3.被災時の再建築ができない

地震や火災などで建物が完全に倒壊したり焼失したりした場合、その土地に再度建物を建て直すことはできません。もし更地となった土地を売却に出したとしても、隣接地の所有者以外に購入希望者が現れにくく、隣地の所有者との交渉がうまくいかなかった場合、売却が難航する可能性があります。

注意点4.リフォーム・修繕時の工事が困難

投資物件の魅力を上げるために、リフォームや修繕を行う場合にも注意が必要です。再建築不可物件は広い道路に面していないため、いざ工事を行う際に工事車両や機材の搬入が難しく、その分工事費用が高額になったり、工事内容に制限がかかったりする可能性があります。

中古戸建て投資前の3つのチェックポイント

ここまで解説してきたように、再建築不可物件に投資する際は複数の注意点があります。そのため、神奈川県内で投資用戸建てを探す際は、法律上の制限を踏まえたうえで、現地の状況を確かめるステップが重要です。ここでは現地で確認すべき3つのポイントを解説します。

1.接道義務を満たしているか(再建築不可物件ではないか)

まずは、再建築不可物件ではないかを確認しましょう。もし再建築不可物件だった場合、その要因を確かめます。役所(建築指導課など)で、前面道路が建築基準法上のどの道路に該当するか、道幅を満たしているかを調べます。役所で事前に調べることで、主な法的リスクを把握できます。

2.擁壁・高低差(がけ条例)に該当しないか

高低差の多い神奈川県では、現地での擁壁(斜面の崩落を防ぐ壁)の確認が欠かせません。「神奈川県建築基準条例」などでは、安全確保のため、一定以上の高低差がある斜面を「がけ」と定め、建築に制限を設けています。自治体や地域により高さ2m〜3mを超える斜面が対象となります。

既存の擁壁に大きなひび割れや膨らみ、水抜き穴の詰まりが見られる場合、将来的に擁壁のやり直し工事が必要になるリスクがあります。擁壁の解体・再構築工事には高額な費用がかかるケースもあるため、具体的な状態や想定工事費用については事前に把握しておきましょう。

3.周辺環境(境界確定・越境)の確認

隣地との境界線が明確になっているか、コンクリート杭や金属プレートなどの境界標(土地の境界を示す目印)が敷地のすべての角にあるかを確かめましょう。ただし、境界標があるだけで境界が確定しているとは限りません。確定測量図や境界確認書などの有無も確認し、必要に応じて土地家屋調査士などの専門家へ相談しましょう。また、隣地からの越境物(隣地から境界線を越えてはみ出している物)がないかも重要です。屋根の軒先や雨どいだけでなく、地中の水道管や伸びた樹木の枝なども含まれます。境界トラブルは購入後の近隣関係に悪影響を及ぼすため、契約前に確認しておくのが安心です。

まとめ|再建築不可物件の投資判断は、事前調査と投資計画が重要

投資戸建ては、表面的な利回りだけでなく、接道義務を満たしているか、再建築不可物件ではないか、擁壁の有無といった法的な条件をしっかり精査することが重要です。これらの要因は、将来の収益性や出口戦略(売却)に直結するため、購入前の状況把握が欠かせません。
法的な制約は投資家の工夫だけでカバーするのが難しい課題です。投資前に、あらかじめ物件が抱える制約を把握し、それでも投資する価値が見込めるかを慎重に判断しましょう。

他にも、不動産投資の基本について記事にまとめています。こちらもぜひご覧ください。
▶投資戸建てを始めるには?初心者向け基礎ガイド
▶神奈川の投資戸建て|長期入居につながる物件条件とは?

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イーカム分譲住宅編集部

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